衆議院議員の自殺

郵政民営化に本当は反対なのに党議拘束で白票(賛成票)を投じた衆議院議員が自宅で首吊り自殺をされました。

議員になられてまだ2年しか経ってない。しかも元官僚で党や組織頼みの選挙で当選してる。悩んだ結果なのか、表に出ていない他の要因があったのか。

心よりご冥福をお祈りします。

この大事な局面で命を絶つなら、せめてちゃんと遺書が残されていてほしい。どこかにあるといいんですけど。

遺書のない自殺ほどミステリーなものはない。
生き残った人がいいように論評するけど、結局真実は闇の中になってしまう。

でも遺書があったとしても、「死にます、とこの紙に書いたら助けてやる」って言って、書かせてベランダからドン!なんていう手口もあるとかないとか…。こわいこわい。(走り書きの遺書はあやしいと私はいつも思う)

まさに政治の世界は生き馬の目を抜く世界とはよく言ったものだと常々思います。これ友人の保守系議員も言ってたな。


板ばさみ
自分自身、再開発予算がらみでは議会のキャスティングボートに立たされ、連日の説得攻勢にへとへとになっていた。
寿司屋や個室の料理屋に色んな人から呼び出され、やさしくやさしく説得を受ける。あの居心地の悪さといったら!
私はいつも直球勝負で、いい提案は当局が呑んで当然と思っているから、私の提案がその時期次々と受け入れられる異常現象を、私の予算賛成への条件とは捉えないでいました。
でも相手にとっては多額の駅前再開発予算を含む予算への賛成議員を増やすための投資だったわけです。

結局私は自分を支持する人たちが大切に思うところを裏切れないと、予算を退席してしまうんですけど、そのとき、書きましたよ、「議員辞職届」というものを。

あーそれこそ今議員じゃないから書ける話です、これは。

辞職届を事務局にもらうときも、信頼できる事務局職員にだけ頼んでこっそり持ってきてもらったのでした。あの職員の表情、一生忘れられない。神妙な顔で、誰にも見つからないようにとお願いしたとおり、しっかり届けてくれた。めったに出る文書じゃないですからね、わざわざパソコンで作成しなくちゃいけなかったみたい。今でもあの方には感謝してる。

「こういうもの、準備しました。」
と当局のトップに見せると、
「そんなことしないで下さい(焦)」
と言われたけど、私にしてみれば、これまでの予算編成への打ち合わせそのものへの義理は感じていたし、ここへ来て肝心なところが満たされないといって、相手にしてみれば努力が水泡に帰すとなれば、相手のモノサシ上ではきっと「裏切り」の一種なわけだから、このぐらいの姿勢は見せる必要があるという意識があった。
「じゃ、私の議決態度をご覧になってどうしても許せないと思ったら、いつでも事務局に提出していいですから」
と当局関係者の胸ポケに預かってもらったのです。
それはある意味その方の良心に踏み絵を預けたようなものでもありました。

辛かったなぁ。
議決では賛成せず、退席。でも自分の選択に恥じるところはない。

私の反対理由は

  • 再開発で建設予定の25階建て住宅ビルの地下構造が地下水脈を傷つけるということと、
  • 上層階が景観を乱さないよう外観の緑化を約束されたにもかかわらず実現は不可能であることが判明した、

というもの。

私の退席で可否同数になり、議長裁決で予算案は否決になりました。

その後数日してからその人に呼び出されて、
「お返しするものがあります」
と辞職届を封筒のまま返された。
正直ホッとしましたけどね。(笑)


批判されても良心は譲れない
私の立たされた状況や、数多くの打ち合わせの複雑さ、そしてどうしても譲れない線を当局が満たしきれなかったことなど、細かなディテールまではなかなか一般に説明しずらく、案の定理解もされなかったから、そのことでめちゃくちゃに地元新聞や口コミで批判をされたし、根も葉もない噂を流されたり、イタ電が来たり、ひどかったです。

でも、自分があそこで取った態度に、誇りを持っています。

今でも言われますよ。
「どうせ成功しない再開発なんだから、ポーズだけでも賛成の態度を取ってれば、選挙であんなに叩かれて落選することはなかったんじゃないの?」ってね。

でもさ、自分の心にウソはつけないじゃん。(^-^)